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馬場 祐治; Wu, G.; 関口 哲弘; 下山 巖
Journal of Vacuum Science and Technology A, 19(4), p.1485 - 1489, 2001/07
被引用回数:5 パーセンタイル:26.29(Materials Science, Coatings & Films)シリコン単結晶表面に吸着したテトラクロロシランにSi 1s領域の放射光を照射した時の分子の分解、イオン脱離機構を調べた。吸着分子自身の励起による効果とシリコン基板の励起による二次的効果とを区別するため、吸着層の数を正確に制御した系について検討した。単相吸着系では、脱離イオンのほとんどがCHイオンであり、その脱離強度は吸着分子のSi 1s→*共鳴励起で最大となるが、シリコン基板の励起では脱離は認められない。一方、二次電子のほとんどはシリコン基板から発生することから、CHの脱離に寄与するのはオージェ電子、散乱電子などによる二次的効果ではなく、吸着分子自身の直接的な内殻共鳴励起効果によることが明らかとなった。
馬場 祐治; 山本 博之; 佐々木 貞吉
Surface Science, 287-288, p.806 - 810, 1993/00
被引用回数:10 パーセンタイル:52.4(Chemistry, Physical)X線光電子分光法やオージェ電子分光法等において観測される内殻軌道のエネルギーシフト(化学シフト)は、化学結合の形成による内殻軌道のポテンシャルシフト(始状態シフト)と内殻イオン化にともなう軌道電子の再配列の結果生じるエネルギー緩和(終状態シフト)の2つの要因で起こる。本研究では後者の軌道エネルギー緩和の効果を調べるため、遷移金属中に捕捉された希ガス原子の内殻光電子スペクトル、オージェ電子スペクトルのエネルギーシフトを種々の系について解析した。その結果、希ガス原子の内殻イオン化過程における軌道緩和エネルギーは、気相や表面吸着した希ガス原子に比べはるかに大きいことを見出した。また軌道エネルギー緩和の要因となる内殻正孔の遮蔽は、主として母体遷移金属のd電子により引き起こされること、希ガスの原子半径が大きいほど軌道緩和エネルギーが増大すること等を明らかにした。
馬場 祐治; 山本 博之; 佐々木 貞吉
表面科学, 13(7), p.421 - 427, 1992/09
3d系列の遷移金属に注入された希ガス原子(Ne,Ar,Kr,Xe)の内殻イオン化過程を光電子分光法により調べた。注入された希ガス原子の内殻軌道イオン化にともなう原子外緩和エネルギーは、母体金属のd電子数とともに増大する。金属中のXeの原子外緩和エネルギーの大きさは、金属表面に吸着した単層及び多層のXeの値より、むしろ母体金属自身の固相-気相間の緩和エネルギー差に近い。これらの事実は、金属中の希ガス原子のイオン化により生成した正孔が、母体金属のd電子により遮蔽されることを示している。また、同一の母体金属(Ti)の場合、原子外緩和エネルギーの大きさは、希ガス原子の原子番号の順(NeArKrXe)に増大する。これは希ガスの原子半径が大きいほど、周辺金属の相互作用が大きく、d電子による正孔遮蔽効果が大きくなることから説明できる。